航空法の遵守事項の一つに『飛行前確認を行うこと』という事項があります。
これ、なんぞや?って思った人、いるんじゃないでしょうか。
そこで本記事では飛行前確認について解説していきます。
目次
飛行前確認ってなに?
航空法施行規則には以下のように記載されています。
無人航空機を飛行させるものが確認しなければならない事項は、次に掲げるものとする
一.当該無人航空機の状況
二.当該無人航空機を飛行させる空域及びその周辺の状況
三.当該飛行に必要な気象情報
四.燃料の搭載又はバッテリーの残量無人航空機を飛行させる者は、前項第1号に掲げる事項を確認する場合において、当該無人航空機の外部点検及び作動点検を行わなければならない
航空法施行規則 第236条の4
飛行させるドローンに異常がないか確認をして、飛ばす場所の気象が問題ないか確認して、周辺の安全確認もして、バッテリーちゃんと充電してきたか確認してください、って言ってますね。
……やたらざっくりとしている。笑
なので、実際に私がやっている飛行前確認の方法を簡単にご紹介します。
【飛行前確認のやり方】現地周辺の状況を確認
飛行させる現地に到着したら、まずは周辺の状況を確認します。
ドローン飛行に適した気象条件か
ドローンは精密機械です。雨や雪が降っている場合は飛行させません。また風速5m/s以上の場合も同様です。
航空法における航空局標準マニュアルでは「風速5m/s以上は飛行させない」となっています。
これによらず飛行させたい場合は独自マニュアルでの申請が必要となります。
気温が高い、もしくは低い場合は機体やバッテリーへの負担が大きくなるため、気温もチェックして適切な飛行方法を考えるようにしています。
飛行ルート周辺に飛行の妨げとなるものがないか/第三者はいないか
飛行させるルート周辺に電線や鉄塔、樹木など障害となりそうなものがないかチェックします。
と同時に、飛行エリアに第三者がいないか確認します。
第三者がいる場所での飛行は航空法の飛行ルール『30m未満の飛行』に抵触するので、承認申請をする必要があります。
離発着場所の確認
離発着場所が斜めになっていないか、ジンバル等に小石など当たっていないかを確認します。
鉄筋等の上を離発着場所にしてしまうとコンパスエラーを起こしてしまうので避けましょう。
また、離発着場所の近くに第三者や物件等がないかも確認します。
航空局標準マニュアルでは「人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所を選定すること」となっています。
たとえ航空法の飛行ルール『30m未満の飛行』の承認を得ていたとしても、離発着時の周囲30mの範囲内に人又は物件があってはいけません!
【飛行前確認】機体の状態を確認
次に、機体をセッティングをしながら異常がないか確認していきます。
破損やがたつき、汚れ等がないか
プロペラに破損や汚れがないか、実際に手で触って確認をします。装着後は手で回して異常がないかも確認します。
アームに変ながたつきがないかも確認します。
私がよく忘れがちなのが、ジンバルのカバーを外すこと。付けたまま電源入れるとアプリ上で「ジンバールモーター負荷」みたいなエラー表示がされます。
カバー外して電源入れ直しでエラーは解除されます!
充電はされているか
バッテリー、プロポそれぞれ充電がされているかを確認。
ここまできたら実際に電源を入れて、今度はアプリ上の画面で確認していきます。
【飛行前点検】アプリの画面で確認
アプリを起動したら、以下のことを確認していきます
エラー表示がないか
特に多いのがコンパスエラーと無線チャンネルエラーです。
コンパスエラーが出た場合はキャリブレーションを実施します。(画面の指示のまんまやれば簡単に実施できます)
無線チャンネルが「悪い」となっている場合は、強い電波干渉がある可能性が高いです。離発着場所を少しずらして「良い」となるか確認します。
改善されなければ離発着場所をかえてどうかを試します。
他のエラー表示が出た場合も、画面の指示に従って改善させます。
RTH(リターン・トゥ・ホーム)の設定確認
RTH(リターン・トゥ・ホーム)とは、機体が自動で離陸地点に帰還する機能のことです。GPSにより離陸地点を自動登録することで自動帰還が可能となっています。
機体との通信が途絶えたときなどに作動する、とても重要な機能です。(手動でも作動できます)
だからこそ、毎回の設定確認はかなり大事!
このRTH、作動後はあらかじめ設定した高度まで上昇してからホームポイントへ向かう仕組みになっています。
ホームポイントからそれほど離れておらず高度も低い場合は、上昇せずにそのまま着陸します。
このRTHの高度設定を飛行前に必ず確認するようにしましょう!
私は通常は30mに設定して、周囲に30m以上の高さの物(ビルとか)がある場合はそれにぶつからない高さの高度に設定し直します。
飛行させる現地の状況によって必要な高度は変わってくるので、RTHの設定はその都度行う必要があります。
カメラ動作確認
カメラジンバルが正常に動くかどうか確認したり、写真&動画が問題なく撮影できるか確認します。
マイクロSDカードが装着されているかも要確認を!ドローン飛ばしてから「あ、SDカード忘れた」となったときの絶望感ったらないですから……。笑
内臓ストレージがあっても、容量は少ないのでやはりSDカードは必要です!
バッテリー残量確認
アプリ上でもバッテリー残量確認をします。(機体もプロポもね)
特に画面右上の機体バッテリー残量は飛行中も気に掛けるべきところ。出だしの残量把握はとても大切です!
私は安全飛行を心がけるため、バッテリー残量が30%〜40%で帰還させるようにしています。
その他確認事項
ほかにもGPSの捕捉数は足りているか、Pモードになっているか、障害物検知システムは有効になっているか……などを確認します。
アプリ上での確認が終わったら、次は機体の動作確認をしていきます!
【飛行前確認】機体の動作確認
LEDライトの点滅が正常か、モーター音に以上がないか確認をしたあとで離陸させ、高度2mくらいにします。
そのまま5秒ホバリングさせ、ふらつき等がないか確認。
次に前後、左右、回転それぞれの動きに異常がないか、操縦しながら確認。
問題がなければ……飛行前確認おしまーい!
このまま実際の飛行にうつってもよし、一旦着陸させて仕切り直すもよし、です!
まとめ
飛行前確認ってけっこうやること多いな……と思った人もいるでしょう。
おすすめなのは、飛行前確認用のチェックリスト作成です。毎回これに沿って飛行前確認を行えば効率がいいし、あとから飛行時の状況等を見直すこともできます。
航空法の遵守事項となった飛行前確認、しっかりやっていきましょう!
ではまた!