ドローンには『リポバッテリー』という種類のバッテリーが使用されています。
リポバッテリーは小型でありながら大容量・パワフルな出力でドローン飛行に最適なバッテリーです。
しかしその反面取り扱いが難しく、非常にデリケートなバッテリーでもあります。
間違った取り扱い方法・保管方法をしてしまうと最悪、爆発を伴う発火事故にも繋がりかねません。
ドローンを安全に運用していくためにも、リポバッテリーの特徴と危険性、扱う際の注意点を知っておきましょう!
目次
リポバッテリーとは
リポバッテリーとは「リチウムポリマーバッテリー」の略です。
スマホなどのモバイル機器で使用されている「リチウムイオンバッテリー」がゲル状になったものがリポバッテリーになります。
リポバッテリーはエネルギー密度が高く、大容量・大出力でありながら軽量、という強みがあります。
他の特徴としては自己放電が少ない、メモリー効果がない、などが挙げられます。
しかしリポバッテリーといえば、
「危険なバッテリーである」
という認識が広く知れ渡っています。
それは、リポバッテリーはこんな弱みも持ち合わせているからです。
- 過充電・過放電に非常に弱い
- 外部からの衝撃に弱い
- 保管時も注意が必要
- 扱い方を間違うと爆発・発火に繋がる
これらリポバッテリーの弱みについて、少し詳しく解説していきます。
リポバッテリーが取り扱い注意な理由
リポバッテリーが取り扱い注意と言われる理由は、様々な要因がトリガーとなって爆発や発火に繋がる可能性を常に持っているからです。
しかもそのときの爆発がけっこう大きく、重大な事故につながる可能性も十分にありえます。
爆発や発火のトリガーとなる要因は以下になります。
①過充電
リポバッテリーは充電し続けると過充電となり発火の原因になります。
一般に4.2V以上の電圧になるまで充電することを過充電とみなし、充電する際は満充電になったらすぐにアダプタから外す必要があります。
リポバッテリーによる火災事故が発生するのは圧倒的に充電時が多いと言われています。
過充電にならないよう、充電時は十分に注意しましょう。
②過放電
リポバッテリーは過充電と同様、過放電状態でも発熱・可燃性ガスの発生を引き起こし、それらが発火につながります。
さらに、過放電状態はバッテリーを劣化させます。最悪充電不可になってしまうので、リポバッテリーを使い切ってはいけません。
また、リポバッテリーは残量が少なくなると電圧が急降下し、急激に出力が低下します。
それによってドローンの墜落事故を引き起こす可能性もあるため、やはり注意が必要です。
飛行中はバッテリー残量を逐一確認するよう心がけましょう。
③外部からの衝撃
リポバッテリーは衝撃に弱く、強い衝撃を与えると発火します。
ドローン飛行中に墜落させてしまったときはもちろん、普段の持ち運び中に床に落としてしまった場合も発火の可能性があります。
身近でもリポバッテリーの爆発は十分起こり得るんです
リポバッテリーも様々なものがあるので爆発・発火の規模に違いはありますが、小さくてもそれなりの破壊力があるため注意が必要です。
また、落下等による衝撃で内部が損傷していた場合、その時は何事もなくとものちの充電時に内部短絡が発生して発火する恐れもあります。
リポバッテリーを安全に使用するために
リポバッテリーは非常にデリケートなバッテリーなため、充電時や保管時などは慎重に取り扱う必要があります。
充電時
- 必ず専用の充電器で充電する
- 充電中は監視し、満充電になったら充電器から外す
- ドローン飛行後などでバッテリーが発熱しているときは、十分に冷ましてから充電する
- 冷えすぎたバッテリーは温めてから充電する(目安:20度以上)
飛行時
- バッテリー残量がすっからかんになるまで飛行させない
- バッテリー残量に余裕を持って着陸させる
- 低温時の飛行は電圧の急降下が起こりやすいため、短時間飛行を心がける
- 高温時の飛行は電圧が上がり過充電状態になるため、短時間飛行を心がける
- 機体が墜落した場合はバッテリーを外して可燃物から遠ざける
保管時
- バッテリー残量がゼロに近い状態で保管しない
- バッテリー残量が満タンの状態で保管しない
- 長期間(1ヶ月ほど)使用しない場合は、バッテリー残量40%〜60%で保管する
- 夏の車内などの高温な場所に保管しない
- 湿度の高い場所で保管しない
- 落下等の衝撃を与えてしまったバッテリーは、他のバッテリーとは別に保管する
基本的には普段私たちが生活している環境と同じ場所で問題ありません。
他にはリポバッテリーの運搬や保管に活用できるセーフティバッグが発売されていますので、用意しておくことをおすすめします。
その他注意事項
- 持ち運び等で衝撃を与えない(ぶつけたり床に落とさない)
- バッテリー端子が短絡しないようにする
- 膨らんでいるバッテリーは使用しない
このように、リポバッテリーは様々な場面で取り扱いに注意しなければなりません。
しかし、リポバッテリーの中には安全設計が備わっており、比較的安全に使用できるものもあります。
それは、インテリジェントフライトバッテリーです。
インテリジェントフライトバッテリーについて
インテリジェントフライトバッテリーは、世界トップシェアを誇るDJIドローンに採用されているバッテリーです。
バッテリー情報(残量、充放電状態)などを管理してくれる管理システムが搭載されており、安全性と利便性の向上を実現させています。
機種によっては自己放電機能も備わっており、バッテリーが一定期間以上使用されない場合に残量65%以下になるよう自動的に放電してくれます。
しかし、安全性の高いインテリジェントフライトバッテリーを持ってしても衝撃には弱く、バッテリー残量がなくなるまで飛行させるのは過放電となりNGです。
リポバッテリーの基本的な取り扱い方法にのっとって使用することをお勧めします!
劣化したリポバッテリーはこうなる
リポバッテリーの劣化は以下のように判断します。
- 膨らんでいる
- 触ると柔らかい場所がある
過充電・過放電によって内部の可燃性ガスの発生が顕著になるとバッテリーは膨らみます。
膨らんだバッテリーは強い振動や衝撃で内部短絡することがあり、これが発火につながります。
また、落下などで衝撃を受けたバッテリーは時間が立ってから発熱や発火することがあります。
劣化したと判断したリポバッテリーは廃棄します。膨らんでいなくても、墜落や落下などで強い衝撃を受けたリポバッテリーも同様です。
リポバッテリーの廃棄方法
ドローンを仕事で使用しているか趣味なのかによって廃棄方法が異なります。
仕事でドローンを使用している場合、そのバッテリーは産業廃棄物扱いになります。
産業廃棄物は自治体のゴミ処理に出すことはできません。製造元のドローンメーカーもしくは代理店に問い合わせるか、産業廃棄物処理業者に委託します。
趣味でドローンを使用している場合は、家電量販店などに設置されているリチウムイオンバッテリー回収BOXを利用しましょう。
設置場所は直接問い合わせても問題ありませんが、簡単に検索できるサイトもあります。
自治体のルールで廃棄可能な場合もありますが、廃棄前の処理が面倒な上、危険を伴う作業になるためおすすめしません。
リポバッテリーを正しく使おう
リポバッテリーは扱い方を間違うと重大な事故につながりかねません。
日々の管理をしっかり行い、安全飛行に繋げましょう!
ではまた!